家具雑貨工房 ki-kiru(きーきる)

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お母さんの机

お母さんのつくえ 7

凄く暑い夏の日でした。

 その休日も、私はいつものように広尾の彼女の家に来ていました。 これも塗っちゃおうかな……
 パソコン用のテーブルが茶の間にデンッとあるのですが、これは以前、私がキャンプで使っていたアウトドア用の折りたたみのテーブルです。アルミの脚の上に天板を載せただけのもので、天板は白木のままでした。彼女は、せっかくの休日だから、体を休ませたほうが良いという意味で、
 「そんなの塗らなくていいよ、」と言ったのですが、既に私の頭の中では イメージが出来上がっていて、こうなると、誰も私を止められません。
 暑い暑い、と言いながら紙ヤスリで磨き、汗をタラタラ流しながらニスを塗ります。
 出来上がると、やはり、「イイネ、イイネ」と、ただの白木からマホガニーに変身した天板を眺めました。
 彼女が「ちょっと一服したら?」と言いました。
私は彼女の方をチラッと見て、ニヤっとしました。‥‥

 
 週末は可能な限り広尾へ行ったのですが、当時私は職場で仕事を持ちすぎていて、休日を取れない事もざらでした。 数週間ぶりに彼女の家に行くと、疲れて、やつれた彼女がいました。  痩せたな…
 彼女自身も残業の多い職場で働いていたのですが、それにくわえ、お母さんの毎日の介護が想像以上に大変だったのです。
 お母さんの痴呆も日々進行しているようで、精神的にもギリギリの状態だったと、記憶しています。
 私に出来ることと言えば、彼女の体をマッサージしたり、冗談を言って二人を笑わせたり、木を切ったりする事くらいでした。

 ある日、彼女が仕事に出かけ、私とお母さんが二人で留守番をする事があったのですが、その時お母さんが、「昔は畑仕事とか、牛の世話とか毎日大変だったけど、今はなんにもしなくていいから、ホント天国みたいだよぉ‥‥」と言っていました。
 私の彼女に対する、感謝のことばであることは言うまでもありません。

 

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