スピーカーの修理 6
随分時間をかけてしまいましたが、やっと完成しました。
MDFの吸い込みが物凄くって、4回目の塗布で塗料が無くなってしまい再発注しその為納期が一週間ずれてしまいました。
結局、7回塗り重ねてやっと納得の仕上がりになりました、プライマーなどの吸い込み止めを施さないとダメですね、トホホ。
塗料が不足してしまったのは吸い込みが激しい他にシボ加工がありました。
この仕事を受ける際にシボ加工はやらない方向でお話を進めていたのですが、やはりできる限りそのへんも追求したほうが良いのではないかと、変な欲がでてきてしまったんですね・・・
これがメーカーで施した凸凹のシボ加工面です、シボ塗装というのが正しいでしょうか。↓
この加工に必要な条件は簡単に説明すると、塗料を固くしてスプレーガンの圧力を低くする事・・・
ですが、主剤に硬化剤、リターダーに希釈剤など必要な溶剤を今回のたった一点のスピーカーの為に仕入れできません。
そんなの少量の小分けで売ってませんし、余った溶剤の長期保存も難しいですし、もう二度と使わない可能性が高いですから。
ですから、既に即使える状態に混合してあるスプレー缶の選択しか現実的でなかったんです。
つまり、塗料を固くもできないし低圧にも出来ない、従ってシボ加工は無理という事になってしまいます。
でも、今は厳冬期ではないもののストーブなしではやってられない北海道の寒季です、塗料は図らずとも固くなっているしスプレー缶の内圧も低いのではないか・・・と思い、朝一番気温が一番低い時に火を焚かず塗布してみました。
そしてその結果がこれ↓
おお、まあまあイイじゃないか。
そんなに規則正しい凸凹ではないけど、ツルツルの平面じゃなくて、それっぽく見えてイイじゃないか。
しかし、それは塗布した塗料が硬化する前の一時的な塗りムラに過ぎませんでした・・・
朝一番に吹き付けて昼頃硬化が進んだ頃には生きの悪い生卵のようにダラっとだらしなくなっていて、吹き付けた直後よりも平面に近づいていました。
ヤッパリ、ダメですね、今回は諦めます。
諦めるといってもメーカーが施した凸凹加工とのクオリティーに差があるものの、平面ツルツルピカピカよりは断然よく写ります。
現状最大限の工夫をした結果を見てくれたら依頼者様は納得してくれるのではないでしょうか。
つまり、材料費にかける費用対効果が要求するクオリティーに見合うかどうかなのではないかと思います。
破損していないユニットなどを組み付け、配線をして元の形に。
新品同様です。
破損した部品を見ると最後まで良くできたな・・・と、長い道のりの足跡を思い返しました。
これからどんなミュージシャンの演奏を扶助したり、何人の聴衆を感動させたりする裏方としてどれほどの活躍をしてくれるのか想像もつかないけど、そんな事を思うと仕事ってお金だけが対価ではないよな、なんて甘っちょろい事を考えたりします。
故障せずにいつまでも頑張って働いてくれ、頼んだぞ!
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